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「はァ~疲れた。面倒くせ」
友人から聞いた話によると、俺は平成ナントカの山田なんちゃらっていう奴に似てるらしい。
誰だそれ。ジャニーズなんて全く興味無いから分かんねぇ。
俺はアントニオ猪木が一番カッコ良いと思うんだけど、女子は違うらしい。
「良いよな~有島は。超モテモテで羨ましい位だぜ」
「別に良くないよ。知らん他校の女子から電話とかかかって来るし…
もう疲れた。別に俺そんな彼女とか欲しくないし」
サラリとした口調でそう言い放ち、くるりと背を向けた。
「何で俺、王子様的な扱いになってるんだ?
テストは毎回赤点だし、掃除はサボるし…泣いてる人が居ても割とほっとくし」
「…さ、さァ知らん。あいつ等は顔が良ければ何でも良いらしい」
「同じクラスの金田の方がカッコ良いのにな。いつもすっげー親切にしてくれるし、
何かあった時すぐに助けてくれるし。絶対アイツの方がカッコ良いのに」
「…有島。女子とはそういうものだ」
ガックリと肩を項垂れ、級友は教室を立ち去った。
全く、世の中は理解出来ないことがたくさんあるなぁ・・・
「先程、〇×市(学校から少し離れた場所の地名)で強盗事件がありました。
犯人は未だ逃走中。皆さん、お帰りの際は身の回りの安全に十分ご留意下さい」
なんか物騒な事件が起きてるなぁ。
でもまぁ、何でも良いや。
「抜け駆けはしないって約束したじゃないのッ。
加奈子、アンタは親友である私を裏切ったのよ」
「裏切るって…付き合ってるわけじゃああるまいし。
正直に言うとね、アンタの上から目線の発言にはムカついてたのよ、前々から」
ッ」
なんか俺絡みの事で事件起きてるけど・・・
ま、なんかどうでも良いや。全てが。それより早くFFクリアしたい。
(俺って、本当イケメンの王子様でも何でもないんだけどなァ・・・)
流れゆく雲を眺めながら、ぼんやりとそんな事を想った。
(何でみんなこんな風にカッコ良いとか素敵だとか言うんだろう…
不思議だ、ファァ~あ、さっきより雲の数が増えてる)
ひとつ、ふたつ、みっつ。流れる雲の数を数えながら、しばしの休息に浸る。
こんな騒がしい人生が、波乱万丈な(?)人生が、早く落ち着きますように―
そう心の中で願いを込めながら。
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