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「うーわー。槐、ついに早紀(さき)のこと襲っちゃったの?」
忍び笑いと共に部屋に入って来たのは、弟の鶲(ひたき)だ。
一つ下のこの弟は、この状況を楽しむかのように部屋に入って来る。
「いつも『早紀は妹にしか見えない』って言ってたのに。
その上都合が悪くなったら記憶喪失のマネごととは、恐れ入るぜ」
「ああ、そうかよ」
そんなことは言った記憶すらないが、ここで反論してもあまり意味はないだろう。
「あーあ。誰かさんが姉貴を怒らせたせいで、またコンビニ弁当かよ。
俺の小遣いは、今月も赤字だ」
・・・
楽しそうに言いながら、弟の演説は続く。
ただ、意味の分からないこの状況を分析するためにも、弟の演説を止めるつもりはなかった。
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