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不安そうな目をした鈴月の後ろには、担任を初めとしたクラスメート達がこちらを見ている。
「鈴月、ーは・・・」
?
あれ、どうした?名前が出てこない。
自分が気にするべき存在はもう一人いたような気がするが、気のせいだろうか。
「?槐君って、私より仲のいい友達っていたっけ」
「いない、よな」
首を傾げる鈴月に、確認するようにして槐も呟く。
一年時、迷惑な先輩に嫌われたのを皮切りに、周囲の人間は槐を空気のように扱った。それ以来、自分の記憶のどこを探しても、『友人』と呼べるような人間は鈴月一人だ。
「でしょ?虎に拐われて、おかしくなっちゃった?」
「・・・みたいだな」
そう言って現実を確認すると、槐はざわめきながらこちらを見ている連中に目を向ける。
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