真相との対峙

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***  [千葉県警]と書かれたパトカーが着くと、そのうちの一台から見慣れたワイシャツとサスペンダーという出で立ちの、小太りの刑事が出て来る。 「・・・」 「よぉ、似内。またお嬢さんと一緒か。  検事ってのも、案外ヒマなんだな」  そう言って出て来たのは松戸北署の後藤(ごとう)刑事だ。  現在、千葉県警と警視庁では相次ぐ越境捜査の急増により連携の強化が促されている。  そのための一環として似内は研修のため松戸北署におり、相棒としてよく面倒を見てくれているのが、この後藤刑事だ。 「休日まで働いている部下に向かって、その言い草はないでしょ、後藤さん」 「私も暇じゃありませんよ。ただでさえ忙しいのを、この人に担ぎ出されたんです」  呆れたように反論する似内と律華を、彼は苦笑いで制する。 「仲が宜しいことで」  そう言って、彼は肩を竦めた。
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