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『バン』と、自分の体を衝撃が襲った。
直後に気づいたのは、自分の頭から流れ出る液体だ。
何だ、コレ・・・
次の瞬間、自分の指に生温かいぬめり気のあるそれが触れたことが分かる。
・・・腕、折れてんな。俺は、死ぬのか
ぼんやりと『死』が頭を掠めた瞬間、意識がかすんでいく。
そんな中、昔の記憶が走馬灯のように頭を過った。
洋介や鈴月と過ごした中学・高校時代、司法試験に合格し関東で働くことになった姉に連れられてきた家。それから・・・
何だ?
何か、大切なことを忘れているような気がする。
思い出せない『何か』が何なのか分からないまま、槐の意識は闇と同化していった。
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