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(でも、本当に分からない……どうして、ブルーム様はエルにあんな酷いことを……)
着ているワンピースの裾をぎゅっと握り締める。
次第に視界が滲み始めた。
涙腺から溢れた涙が落ちそうになり、指先で拭おうとしたところで白い布が目の前に差し出された。
隅に名前が刺繍されている。エルのハンカチだ。顔を上げると優しい眼差しではなく、真摯な瞳に出会った。
「……本当によろしいのですか?」
まるで心の奥を覗き込むような眼差しと声が突き刺さる。
ぐちゃぐちゃな感情を絡み取りながら、ソルフィオーラの心根を探ってくる。
「よくない、わよね……きっと」
きっと、ではない。よくないと分かっていた。
だって昨日はブルームとまともに会話もしていない。再会後のブルームの様子から自分たちの間にすれ違いが起きていたのは明らかだ。そしてソルフィオーラ自身も自分のミスを自覚している。
そのことに何も向き合っていない。
────それに。
「ブルーム様がね、言っていたの。わたくしの笑顔に心を奪われたって」
それはすれ違う前に過ごした夜、彼が言ったことだ。
ブルームの仕草にクスリと笑ってしまった瞬間を見られ、彼がそれを見惚れていたと言って。
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