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「いきなり何をす」
「あまりに情けなくて怒りのあまりぶん殴りました謝りません」
ノクスの黒い目は据わっていた。
怒りの籠った視線がブルームを真っ直ぐ貫く。研ぎ澄まされたナイフのような眼差しに息を飲む。
「どうしようもない? ブルームはまだ何もしていないじゃないか」
「だがしかし、何をすれば」
「何をすればいいか分からない? まさか当たり前のことも分からないなんて、本当に情けないね」
「──だが、今更何をし」
「何をしても遅いかどうかはやってから言うもんじゃないかな」
何か言おうとすれば言葉を先読みされる上に遮るように言い返されるので、最終的にブルームは黙るしかなかった。
ノクスはまだ挽回するチャンスがあると言いたいのだろうか。ブルームは考えてみるが、そんな方法があるとは到底思えなかった。
黙り込んだブルームにノクスは呆れたように息を吐く。
「……ブルームさ、まだ謝ってないでしょう?」
────昨日の今日ことだから謝れていなくてもしょうがないけど。
そう付け加えた上でノクスは更に続ける。
「ブルームがしたことは、本当に愚かとしか言いようがないよ。……僕もちゃんと確認すればよかった」
「…………」
「でも、ミスをしたなら……間違いを犯したなら、お詫びする。それは仕事をする上で当たり前のことだろう? それは人間関係でも同じだよ、ブルーム。」
「……そう、だな」
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