第四章 月はすれ違いの太陽を腕に抱く

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「ブルームは間違いなく奥様やエルさんを傷つけた。それを誠心誠意謝ることもしないで、それも仕方ないと諦めて逃げるなんて僕は絶対に許さない」 「……ああ。ノクスの、言う通りだ……」  なんて、当たり前で単純なことなのか。  ノクスの拳骨を受けて、ノクスに諭されて、ようやく目が覚めた。  何も考えられなかった頭がはっきりとしてくる。そこでブルームはようやく考えることが出来た。当たり前で、単純なことを。 「ソフィーに……謝らなければ」  ミスを受け入れ、伝え、誠心誠意謝罪する。勿論、エルにも。大事な家族を託してくれたサニーズにも。  許されようとは思わない。それを決めるのはあくまでソルフィオーラであり、ブルームは彼女が決めたことを受け入れるだけだ。  まずは何が何でも謝罪すること。後の事は後でいいのだ。 「ノクス、すまない」 「……謝る相手は僕じゃないでしょうが」 「ああ。分かっている。だが、お前にも謝りたい。……情けない主で、幼馴染で、本当に申し訳ない」 「……ハハッ、本当だよ。でも、僕はもっと別の言葉が聞きたいかな」 「……ああ、ありがとう。ノクス」  立ち上がり、ノクスと見つめ合う。  彼の表情は見慣れた幼馴染の顔にすっかり戻っていた。  彼への言葉は全てブルームの素直な思いだ。ソルフィオーラに恋をして以降、ノクスの存在の大きさを改めて感じていた。  ノクスはブルームにとって大事な存在だった。  それこそ話に聞いたソルフィオーラとエルのように、幼少の頃から一緒なのだ。友であり、優秀な執事でもあり、家族でもある。  そんなノクスがいなかったら、今のブルームはいない。彼がいて良かったと心から思う。
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