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「そうだけど……って、そんなに青褪めてどうしたんだい?」
だが予想は当たっていた。返って来た肯定に目眩がしてくらりと身体が傾いだが、ブルームは寸でのところで踏みとどまった。
こんなところで倒れている場合じゃない。踏みとどまった足を前へ────。
「ソフィー!」
駆け出した勢いで身体が机にぶつかってしまった。その拍子に書類が散らかろうとどうでもよかった。
後ろから自分の名を呼ぶノクスの声が追い掛けてきたが、ブルームは振り返ることなく部屋を出た。乱暴気味に開かれたドアの音がやけにうるさく響いた。
ドタドタと慌ただしく階段を下りてきた領主の姿に誰もが驚いていたが、そんな彼らの事を気に掛ける余裕も無い。
嫌な予感がブルームの身体を突き動かしていた。
それがどうか外れていて欲しい。そう願ってやまないが、愛馬に跨り駆け出しても身に纏う黒い感覚は消えない。
(ああ、ソフィー……!)
太陽は東から昇り西へと沈む。
ルブルム領へ続く街道は、グレンツェンの西から伸びている。
(私の、太陽……!)
どうかこれ以上彼女の笑顔が沈まぬよう────ブルームは西へと急いだ。
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