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(……無事だといいのだけれど……!)
動かない御者の姿を思い出す。
エルが隙を突き数人倒してくれたおかげで逃げ出せたはいいが、ソルフィオーラは彼を置いていったことに罪悪感を覚えていた。正直心配でたまらない。でも非力な自分に出来ることはなく、主の命を優先したエルの行動についていくしかなかった。
だが、普段身体を鍛えていない者が長く走り続けるのは無理がある。
ソルフィオーラの体力はもう限界だった。
「────あっ!」
「ソルフィオーラ様!!」
地面から突き出ていた石に躓き、ソルフィオーラは転倒してしまった。
その拍子に手が離れ、焦ったエルの声が森の中に響き渡った。
「大丈夫ですか……っ!?」
「はぁ……はぁ……ええ、大丈夫……」
すぐに傍まで駆け寄ってきたエルに支えられ立ち上がる。
「……ッ!!」
「ソルフィオーラ様!?」
しかし突然右足に鋭い痛みが走り、ソルフィオーラは再びその場に崩れてしまう。
右の足首が熱を持ったようにじんじん痛む。どうやら転んだ時に捻ってしまったようだ。
これではもう走れない。こうしている間にも、賊は着々と近づいてきているのに。
(どうしましょう。このままじゃ……)
捕まってしまう。そしてきっと想像も出来ないような惨たらしい目に遭うだろう。
逃げなければと分かっているのに、どうしても身体が動かない。
そんなソルフィオーラの様子に気づいてか、エルがこちらに背を向けてきた。
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