第一章 月と太陽のぎこちない初夜

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 もっと素直に向き合ってブルームと笑い合えていたらきっとこうはならなかった。  互いの事を話し合い、腕を絡め寄り添い祝福を受け、幸せな夜を迎える。そうなりたかった。そうしたかった。なのに何故思うようにいかないのだろう。  過ぎた時は取り戻せない。だが、今はそれを願うばかり。  二人が話すきっかけとなった本の主人公のように、魔法が使えたらいいのに。  ――――花嫁は一人枕を濡らし、花婿は一人自信を喪失する。  新たに夫婦となったブルームとソルフィオーラの初夜は、こうしてわだかまりを残し、深めるどころかぎこちない関係を作り出す結果に終わった。  こんなことで、果たして幸せになれるのだろうか?  それぞれの部屋で枕に顔を伏せる今の二人では、到底幸せな未来を描けそうに無いのであった。
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