仮カレ

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日本食のレストランで定食を食べた。 これがどういうわけか二人してしょうが焼き定食に落ち着いた。 数日は日本食にありつけないからと選んだ店だったけれど、まさか同じとは。 『俺達、食事の好みも似てるな』 とか甘い顔で微笑んでいる彼に背筋が凍える気持ちになった。 だって、どう考えても嵐の前の静けさだと思えるからだ。 甘い顔で優しくしておいて、現地で突き落とされるのではないかと不安になる。 商談中は口を挟まないように言われている。 意見を求められない限り、淑やかに座っていろと。 あくまでもサポートする立場なのだから、当たり前なのだけれど、想像しているよりも難しい商談なのかもしれない。 言葉に慎まなければ。
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