仮カレ

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「おい、着いたぞ、起きろ」 体を揺すられて目を覚ませば、既に機内は慌ただしくなっていた。 「熟睡し過ぎだぞ」 「ごめん」 「立てるか?」 寝起きでふらつく体を支えられて降りるはめになってしまった。 格好悪いどころか恥ずかしい。 少し飲み過ぎたような記憶もある。 始めての海外出張で緊張しているとはいえ、何たる失態。 もう彼の言いなりにでもなるしかないのか。 考えたくもない。 税関をパスして荷物を受け取ると 「いいよ、俺が持っていくから気にするな」 不思議なぐらい紳士だ。 裏があるのではと思ってしまうのは考えすぎるから? 戸惑うばかりで、このまま日本へ帰りたいくらいだ。
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