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その時、
「おい!」と。
声とともに男が離れた…、いや引き離された、が正解。
続いて、
「話の途中に帰んな!まだ終わってねーだろ!」
「い、五十嵐さん…?」
そのまま、ドンッ、と壁に押し付けられる。
「ちょっとちょっと~」
男がへらへらしながら五十嵐さんの肩に手をかけた。
「あぁ?痴話喧嘩の真っ最中なんだけど?あんた、こいつに何か用?」
ち、痴話喧嘩ですって?
「い、いえ、別に…」
「じゃあ、とっとと行けよ」
低い声。
男を睨みつける目がキツい。
「ど、ども…」
急に真顔になった男は、そそくさと階段を下りて行った。
初めて見た。
五十嵐さんのこんな顔…。
「危ねぇな~。2次会に来ないからこういうことになるんだろ?」
「だ、だって…」
で、気づいた。
五十嵐さんの右腕が、階段から私が落ちないよう支えてくれていることに。
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