好きでしょ?

9/23
前へ
/23ページ
次へ
「ねぇねぇ、カノジョ~」 階段を下りて来た男がすれ違いざまに抱きついてきたのだ。 「いい匂い~」 男が私の耳元に顔をすり寄せる。 男の身体からはお酒とニンニクと、好みじゃない香水の臭い。 「やめてください!」 上がるにも下りるにも中途半端な階段の真ん中あたり。 ぐらぐらする足で壁際へと逃げる。 「待ってよ~」 男もついて来た。 「ねぇ、どっか行こうよ」 今度は男の顔の毛穴まで見える距離。 「離して!」 力いっぱい押したが、男はまったく動かなかった。 助けて…誰か…
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

194人が本棚に入れています
本棚に追加