194人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇねぇ、カノジョ~」
階段を下りて来た男がすれ違いざまに抱きついてきたのだ。
「いい匂い~」
男が私の耳元に顔をすり寄せる。
男の身体からはお酒とニンニクと、好みじゃない香水の臭い。
「やめてください!」
上がるにも下りるにも中途半端な階段の真ん中あたり。
ぐらぐらする足で壁際へと逃げる。
「待ってよ~」
男もついて来た。
「ねぇ、どっか行こうよ」
今度は男の顔の毛穴まで見える距離。
「離して!」
力いっぱい押したが、男はまったく動かなかった。
助けて…誰か…
最初のコメントを投稿しよう!