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(ダメです。
良いんですか?
仮初めの恋で……そんなの本当の恋とは言えませんよ。
勇気を持って、告白すべきです!)
【それで玉砕か?
何せ相手はこっちの名前さえ知らないんだからな。】
私の心を覗き込んだように弱いところをつく。
私はさらに手を伸ばした。
(いけません。
そんな甘言に惑わされては……。)
だって、このままじゃ彼は振り向いてくれない。
彼の心……いや、全てが欲しい。
私の中に閉じこめてあった欲望が一気に体を突き動かす。
私はゴミ箱から件の広告を取りだした。
(ああ、なんと罪深いことを……。)
天使は徐々にその影を消していった。
【そう、それで良い。
後は解るよな。】
私はコクリと頷いた。
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