気になるあの娘。

3/6
前へ
/43ページ
次へ
蓮見野々子(はすみ ののこ)ちゃん。入学式の翌々日まで欠席していた元クラスメイト。野々堂と言う和菓子屋さんのお孫さん。 僕の両親が営むパン屋、ストロベリーベーカリーが開店することを機に挨拶に伺ったのが、ちょうど入学式前日のことで。その時、 名前が野々子だと言うこと、熱を出して寝込んでいること、僕と同じ歳で同じ高校に通うこと。それらを聞いていたものだから。彼女の存在は知っていた。が、 「えっと、蓮見野々子です。…宜しくお願いします。」 朝礼時に挨拶をする彼女を見た、まさにその時。僕は稲妻を浴びるような、それはそれは強い衝撃を受けた。 (か、か…可愛いー!!) 野々子ちゃんは、一言で言うならお人形。少女漫画から飛び出したヒロイン。 世間に舞う紫外線を跳ね返して生きているのかと思わせる、真っ白な肌に、小顔で、大きくてまん丸の黒目、艶のある黒髪。ほんのりピンク色の唇に、ツンと高い鼻。 (に、人間国宝!?てか本当に人間!?) 三度の飯より可愛いものが大好きな僕は、その衝撃にふるふる震えて真っ先に思った。 (ぜっったい!お友達になりたい!!) と。 その野々子ちゃんに「りっちゃん」と呼ばれている僕、四ノ宮陸(しのみや りく)は、可愛いものに目が無い、特技は裁縫に料理の…世間では乙男(おとめん)と言われるものらしい。 僕としては、ただ好きなだけなのだけれど。 今日もお気に入りのクマのヘアゴムで、耳の下で小さなツインテールを作っている。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加