高校一年の冬

8/8
59人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
秋ちゃんはそう言うと、私の頭を撫でて帰って行った。 私は何が何だか分からずにただその場で泣いていると、ピュルルとスマホが鳴った。 秋ちゃんからだ… 私はしゃがみ込んで膝を抱えて泣いた。 秋ちゃんから送ってきたLINEは、中学の体育祭の後に二人で滑り台で撮った動画だった。 真っ赤な髪をした秋ちゃんとまだ幼い私が、楽しそうに騒いでいる。 そして、BGMはあの時のトレモロだった。 秋ちゃん、分かったよ… 七海は、もう、秋ちゃんをあきらめる… 秋ちゃんの言うように、カッコいい彼氏を作って、前を向いて歩くから… 秋ちゃん、さようなら… まだ本当は大好きだけど、でも、いつか忘れられるよね… バイバイ、秋ちゃん… 「七海~~」 皆で泣いた… 私の恋は、友達の思いやりの中で終わった。 そして、最高にクールな秋ちゃんの優しさの中で…
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!