ほたる茶会に行く前に

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日本庭園で海老を見る。 日本庭園にきてます。 哲さんが海外のお仕事の後 時間があれば立ち寄る 空港近くの日本庭園。 たくさんの皐月 山法師や藤、ぼたんにシャガ 紫花菜が咲いている。 大きな池は回廊がついていて 鯉がたくさん泳いでいる。 「すごーい」 そばを通ると 寄ってくる。 「かわいい。アイシャドーしてます」 「目がクリッとしてるね」 鯉の餌を買ってまくと かるがもの親子もやってきた。 私たちは庭園をゆっくりと歩く。 太鼓橋を通るとき 下りから手をつながれた。 哲さんは こんなとき、心配性。 私は甘えて、指を絡めた。 白い白い花は三ツ葉をまだ生やしておらず 「やまつつじは葉が後ですから」と言う 蜜を吸う 哲さんの横顔を眺め見る。 ふと私を振り向き 微かに笑む哲さんは 花の薫りを纏っていた。 手をつないだまま歩く。 「あ、滝がある」 ついさわりに行く私に苦笑してる哲さん。 あじさいはまだ咲いていない。 牡丹の甘く華やかな色が目に染みる。 「綺麗ですね」 「優衣ちゃんみたいだなあ」 「それは絶対ないですよ」 「俺にはそう見えてんだ。 こればっかりは譲れねえな」 庭園の裏池に何か泳いでいた。 「あ…えび」 まさか日本庭園にえびがいるなんて… 「わあ、透明でかわいい」 めだかも泳いでいる。 「しまえびだそうですよ。 6月には夜間解放して ほたる茶会が開かれると書いてあります」 「わあ」 「その頃には紫陽花が咲いてるでしょう」 「いいな」 「ふ」 哲さんが少し笑った。
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