過去の記憶

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はっと目を覚ました。 心臓が早い。 変な汗をかいていた。 「……あ、昔の夢か…………」 布団を握り締めて呟く。 早くなる呼吸を深呼吸をして落ち着かせた。 いつの夢だろう。 無意識に震える手に自分がまだ忘れられていないということを悟る。 どれだけ今を普通だと偽っても過去はついてくる。 自分が自分に言う。 「俺は皆とは違う」と。 そしてきっとそれは事実だ。 俺はまだ囚われている。 ずっと囚われている。 そんなことが馬鹿らしくて笑えてきた。 血で汚れた指先が、未だ鼻に奥に残る錆びた鉄の臭いが、暗くてくすんだ視界が、 俺を離すのはいつだろう。
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