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「そういや私らもお揃いだったね」
携帯画面を見ながら青葉が言った。何のことかわからず首を傾げると、青葉は見ていた画面を透流に見せた。
「あ、風!」
「そう、お揃い」
「じゃあ泉もお揃いだな」
そう言って泉を見ると、「なにが?」と首を傾げた。それに対し青葉は「二年生くらいで習うと思うよ」と泉の頭を撫でた。
家について泉と叔母と昼食をとった。母さんと呼ぶべきか悩んでいたら「名前で呼べばいいじゃない」と青葉に言われたので、さりげなく「玲子さん」と呼んでみようと思っていた。結局、この日は呼べなかった。
昼食を終えた頃に携帯のバイブの音が鳴り、開いてみると青葉からだった。
『今日は久しぶりに風野と話せてよかったです』
と短いメッセージと動画が二つ送られてきた。
一つはあの空の動画、 もう一つは透流と泉が自転車に乗る後ろ姿だった。
再生してみると、泉に何か言ってる自分の声が聞こえる。前を泉に走らせ、透流は後ろから「そのまましばらく真っ直ぐ」「車には気をつけろよ」と声をかけながらゆっくり追いかけていたので、きっとそれだろう。いつの間に撮っていたのやら。
どう返事をするか考えながら、あいつ俺のこと一度も名前で呼ばなかったなと、青葉からのメッセージを見て思い出した。
そうだ、叔母さんを名前で呼べるようになったら、次は青葉を『お揃い』の方で呼んでみよう。きっとすごく睨まれるんだろうなと、想像したら少し笑えた。
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