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宮城が緑原の服を、緑原が宮城の服を、もどかしげに脱がせ合う。
緑原が宮城のローライズを脱がせる。反り返った宮城のがへそを叩いた。
宮城が机の上に抱き上げた緑原の足を肩に担いだ。
「じゅんちゃん!」
「にいちゃ、なにやってるの?」
「ええええええ、総二郎? お熱は?」
「そうじろーおにいちゃのお熱さがった!」
「修三! そうか、総二郎おにいちゃんのお熱がさがったの知らせにきてくれたのか、えらいなぁ」
いま、肩に担いだ正常位の最初の一突きをつきこみ、せいやせいやそれそれしようともりあがっていた二人がこおりついたように動けない。ここで抜いてそそりたったものを見せて、怒ったりしたら、いたいけな子供が先端恐怖症になってしまうかもしれないのだ。
ボールペンやおはしのさきっぽがこわくてしかたないようになってしまっては大変だ!
「みどりにいちゃ、なにしてるの?」
「あ、えーと、組体操?」
「ぼくもやる」
「え、ぬがなくていいから、ぬがなくていいから」
「ぼくも、ぼくも」
総二郎と修三が服をぬぎはじめる。総二郎が長袖のシャツをぬごうとする。まだ頭の大きな年齢だ。シャツのクビのところがひっかかってうまくぬげない。めくりあげたシャツをかぶって、ジタバタしはじめた。修三も続く。
「ごめん、緑原さん、おれ、萎えてぬけるまでちょっとまってね」
「う、うん」
「ミッツ・マングローブとマツコ・デラックスの四十八手! 突き出し、寄り切り、押し出し、上手投げ、仕立て投げ、小手投げ、すくい投げ、出し投げ、首投げ、二丁投げ、かけなげ、櫓投げ、ヤガラ投げ、内がけ、外がけ、切り返し、けたぐり、わたりこみ、二枚ぞり、足取り……」
宮城が呪文を唱え始める。弟たちは、腹を出し、シャツをぬげずに謎の踊りを踊っている。宮城んちの夜がふけようとしていた。緑原は、天井の木目の数をかぞえることにした。
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