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第四章 保護者会
弟たちを起こして、トイレを済ませ、顔と手を洗わせて、食事の準備、服を着せて、幼稚園の送迎バスに乗せる。分別ゴミを出す。後片付けと部屋の掃除。洗濯ものを干す。
朝のあわただしさがめまぐるしい。ホームレスのころには、感じたことのない忙しさだ。
緑原は生きている気持ちをかみしめた。末の弟の詩郎のおむつがようやくとれたみたいだ。宮城がお祝いのケーキを予約した。誰かがなにかをしたら、当たり前のようにおめでとうと温かい言葉があった。みなが互いに大事にしあい、慈しむ世界。
殺伐とした路上のゴミあさりとは、かけ離れた世界だった。
二階のトレーニングルームで、宮城が椅子を並べて、裸で腕立て伏せをしていた。
鏡にフォームを映し、見せるための腕立て伏せだ。
緑原も裸になった。ピラティスを始める。
宮城のたくましい尻が上下する。ひきしまったお尻だ。
緑原は、尻の力をぬいた。攻めの力強い尻えくぼと違い、受けの尻はちからをぬいて丸みを出す。宮城の吐息がアツい。宮城の視線を感じる。
緑原は、リラックスして柔軟を始める。息をはいて開脚する。
尻をもちあげて、背をネコのようにしならせる。体幹を意識して、バーに身体をあずけ、足を上げる。鏡にフォームを映してチェックする。
昨夜は、弟たちにいいところで邪魔されてしまった。宮城のがそそり立っている。
緑原はたまらず、宮城が腕立て伏せをしている椅子の下にもぐりこんだ。
尻をあげて、広げる。宮城が入ってきた。
甘い声をあげて、緑原は甘えた。宮城が、緑原にしゃぶりつく。
温かい朝日の中で、二人は、むさぼりあった。
高まる悦びに愛があふれる。
あと少し、あともうちょっと。
宮城のスマホが鳴った。宮城が、くやしがって腕を振った。
宮城は、フリーの無所属でマネージャーもいないし、事務所にも所属していない。
スマホが宮城の事務所だ。
かかってきてもおかしくない時間にかかってくる電話には愛想よく出る。
スマホに出た宮城が応対する。宮城が、緑原を見た。
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