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そもそも、養子の当主など聞いた事もない。
「でも、考えておいてください」
嘉琉は立ち上がると、微笑みながら去って行ってしまった。
「すごい迫力だよね……」
「まあ、現在の当主の後見人だからね」
当主というのも結構な長生きであるが、やはり人であるので限界がある。
「満千留に声を掛けて、山の民の方に行ってみるよ」
すると、黒川も永新もついて来るという。
柴崎の山の民は、特に異形が激しく、気が荒い連中が多いらしい。
満千留を捜して、母屋を彷徨うと、案内人がやってきた。
「満千留の所に行きたい」
「分かりました」
案内ついでに、建物の内部を教えてくれた。
この館は、当主の住居部分には、絶対に入ってはいけないらしい。
誤って入らないように、色が別れているという。
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