第十三章 輝夜 三

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 そもそも、養子の当主など聞いた事もない。 「でも、考えておいてください」  嘉琉は立ち上がると、微笑みながら去って行ってしまった。 「すごい迫力だよね……」 「まあ、現在の当主の後見人だからね」  当主というのも結構な長生きであるが、やはり人であるので限界がある。 「満千留に声を掛けて、山の民の方に行ってみるよ」  すると、黒川も永新もついて来るという。 柴崎の山の民は、特に異形が激しく、気が荒い連中が多いらしい。  満千留を捜して、母屋を彷徨うと、案内人がやってきた。 「満千留の所に行きたい」 「分かりました」  案内ついでに、建物の内部を教えてくれた。 この館は、当主の住居部分には、絶対に入ってはいけないらしい。 誤って入らないように、色が別れているという。
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