第十三章 輝夜 三

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 威嚇するような声が、あちこちから聞こえてくる。 山に猿はいたが、縄張りまで考えていなかった。  これは、このまま先に進んでもいいものなのか。 立ち止まって、猿の姿を捜したが、声が聞こえる方向を向くと、既に消えている。 「ワオワワアオオー」  規則性のある、言語のようにも聞こえるが、日本語ではない。 「ワオワア?」  つい真似て言ってみた。 すると、耳元で返事が聞こえていた。 「ワオワオオ」  何となく、意味は分かった。 敵か味方か分からないと言っている。 「ワオワオオ?」  俺が真似ると、手を叩いてくれた。 「ワオ、ワオオオオ、アー」  そこで、巨大な猿が俺の手を持っていた。 そして、猿が頷いている。 これも、どことなく意味は分かった。 味方だ、手を出すなであった。
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