第一章 月光

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 俺、上月 守人(こうづき もりと)は、薬剤師を目指す、大学生であった。 今は、喫茶店ひまわりの店員であり、ビールを運んでいる。 「ビールとおでんです!」  元気に言うと、雰囲気に合わないと、やんわりと氷渡(すがわたり)に窘められる。  夜はいつも、氷渡が店員をしていた。  氷渡は俺と同郷の同じ年で、幼馴染でもあった。 でも氷渡は、特に俺と仲が良いということはない。  氷渡は、市長の息子で、エリートであった。 今も、弁護士を目指して、こちらの世界に来ている。 氷渡が店員をすると、それはどこでも、豪華な雰囲気になり高級店のようになる。 喫茶店ひまわりも、定食屋から一転していた。
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