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「昨日遅くまで仕事していて寝不足なんです」
「とか言っちゃって、本当は例の同じ会社の堅物くんと何かあったりした?」
「ないですよ、なにも」
眼鏡を外した美穂の顔にみとれる芽以は言った。
「美穂さんってコンタクトにすればいいのに、美人なのにもったいない」
美穂は曇りの取れた眼鏡をかけると、芽以の言葉は聞こえていないように陽子と話を続ける。
「それより陽子さんこそ今日気合いが入っているじゃないですか、今晩例の女たらしバーテンダーの店に行くんですか?」
芽以はBarと言う大人の世界の香りがする言葉に目を輝かせた。
「女たらしは余計よ。今日は珍しく旦那が帰ってくるのよ、だから今晩はお預け」
陽子がそう言うと芽以はがっかりしたように顎が浸かるまで体を湯に沈めた。
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