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「僕はなんだ?」
ミドリはゆっくりと目を閉じる。
僕は消えてなくなった。
ぼくは一体なんだったのだろう?
三人の女たちの創造物だったのか?
いや、ぼくは確かに存在した。
そうだ!いやちょっと自信はないが、でも、その男は確かにいたはずなんだ。
そうだろう?
そうだと誰か言ってくれ。おい!
「そういえば」
美穂は湯船をぱちゃりと肩にかけながら言った。
「わたしこの前までときめいていた男のことがぜんぜん思い出せないんですよ。少女に戻ったようなピュアな恋愛だった気がするんですけど」
陽子と芽以は顔を見合わせ同時に言った。
「それわたしも」
陽子は短いため息をつきながら言う。
「ちょっぴり切なくて意地悪で、でも優しかった」
芽以は両手を頬にあてる。
「わたしは胸がキュンキュン苦しかった」
しばらく三人はそれぞれ考え込むように黙っていたが、やがて同じことを口にした。
「まあ、でもいっか」
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