第一章 ハッピーイエロー

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 時計の針が15時を指したとき、都会銀行の電動シャッターが静かに下り始めると、お揃いの服を着た異様な数の若者たちは携帯画面にくぎ付けになる。 「ワァーーーッ!」  まるでメジャーリーグの日本人選手が、 満塁ホームランを打ち上げた姿を目の前で目撃したような大きな歓声が若者たちから響き渡ると、その集団は一斉に同じ方角、東京駅に向かい歩き始めた。  同日15時10分。 警察署に1本の電話が入る――。 「はい。もしもし。都会警察署です。」 「事件ですか? 事故ですか?」  大きな事件などなく平穏な日々が続く中、 平和ボケした警官が、いつものように決まり文句を言葉にしていた。 「えっ……銀行強盗!」  一人の警官が発した言葉を合図に署内は慌ただしい空気に代わると、一斉にサイレンを鳴らしながらパトカーが緊急出動してゆく。  この迅速な対応は脱帽するほどのものだが我先に出世を目論み犯人逮捕に意気込む者もいるようだ。
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