第一章 ハッピーイエロー

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 現場の都会銀行へ向かうにつれ車内から見える菜の花畑のような景色に違和感を感じ始める。  フロントガラスから見える多くの若者たちは皆、男女問わずお揃いの黄色いTシャツを着こんでいる。 「おい、今日なにかイベントでもあるのか?」 「いや、何も聞いていませんが」  行き交う人々が同じ服装で、異様な雰囲気に包まれているのだ。  当たり前の事だが、警察車両ではないため 取り合えず現場へ向かうものの、無線がなく一切の情報が入らない。 事態を理解しないまま車は事件現場の銀行へと向かう中、遼は矢崎に声をかけた。 「ちょっと、所轄に連絡入れてみますね」  遼は、署へ連絡すると携帯から聞こえる声をそのまま復唱してゆく。 「犯人の特徴、20代の男女3名。 服装はいずれも、黄色いTシャツに、白のジーンズ、黒帽子にマスクを着用」  最後に遼が復唱したのは、電話口から聞こえる平和ボケした署員の一言だった。 「馬鹿な若造が目立つ格好で、銀行強盗をやらかしやがった。 すぐに解決だな」 「……」
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