第一章 ハッピーイエロー

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第一章 ハッピーイエロー

 8月18日 月曜日。  14時55分 東京都内――。  沢山のビジネスマンや観光客が行き交う中、一際、眼をひく若者たちが点々と散りばめられ、次第にその点は大きな塊となり、都会銀行本店を中心とし、半径1km程にまで広がりを見せていた。  全ての若者達はお揃いの衣装、黄色いTシャツに真っ白のジーンズ姿、真夏だというのに、マスクをし、黒い帽子を深々とがぶっていた。 それは、まるで何かのイベントが始まるかのように……。  信号待ちをしていた、事態を呑み込めない中年のサラリーマンが若者の一人に声をかけている。 「テレビのイベントですか? それとも、コンサートでもあるのですか?」  大学生だろうか? スマホを片手にガムを噛みながら一人の若者は答えた。 「高額バイトだよっ。 夏休み終わっちゃうし、今金欠だからさ。 ラッキーだったよ」 「高額バイト?」 答えを聞いても、理解していないのであろう。信号が変わると若者を残し、男はその場を去っていった。
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