捜査一課 一之瀬 奏

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動画が流れてから2時間が経過しようとしていたそのとき。 プルルルル…。 木崎邸の電話が鳴った。 一課はすぐに逆探知の準備を始めた。 一「良いですか。出来るだけ話を引き伸ばして下さい。そして、あまり犯人を刺激しないように。」 一之瀬は昭蔵と昭蔵の妻である幸枝にそう釘をさした。 数秒で逆探知の準備は完了した。 一之瀬は「どうぞ」と手で合図を送った。 昭蔵は幸枝に受話器を取るよう目で合図した。 よほどこの件に関わりたくないのか、もしくは女性である幸枝の方が犯人も少しは油断するだろうと思っているのか。 どちらにしても一之瀬はあまりいい気はしなかった。 幸枝は緊張した面持ちで受話器を取った。 幸「も、もしもし…」 工『おや、まさか本人じゃなくて奥さんが出るとは。もしかして社長さんはビビってるのかな』 電話に出たのは男のようだ。 ボイスチェンジャーのような物は使っていない。 犯人は挑発めいた言葉をぶつけた。 工『まぁいい。多分長男が警察には連絡してるんだろう。刑事に代わってくれ』 …当たっている。 一之瀬を始め、刑事たちは驚愕していた。 幸「息子の、息子の声を聞かせて下さい」 幸枝は慌てた声でそう言った。 そのとき。 _カチャ。 電話越しにそんな声が聞こえた。 工『次に余計なことを喋ったら息子さんの体に穴を開けますよ。いいから早く刑事に代われ』 穴を開ける? 相手は拳銃を持っているのか。 だとしたら、さっきの音は撃鉄を上げた音か。 現場は一気に緊張に包まれた。 幸枝は恐る恐る一之瀬に受話器を渡した。 一之瀬は受話器を受け取った。 一「もしもし」
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