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<智哉 side>
-その頃、ライブ会場では。
電話を切った工藤は携帯をポケットに仕舞った。
鷹「いいのか工藤?」
鷹岡は工藤に聞いた。
工「なにがだ?」
鷹「そのガキに話をさせたことだよ。なんか色々と喋ってたけど。」
工「しょうがないだろ。「彼の望みは出来るだけ聞いてやってくれ」って言われてんだから」
言われてる?誰にだ。
工「それに、たとえ俺たちのことがバレたとしても、その頃には計画は終わってるよ」
鷹「…ならいいけどよ。」
どういうことだ。
この人たちの目的は金じゃないのか?
だったらなんだ。
俺は思考を巡らせた。
そのとき。
プルルルル…。
工藤の携帯が鳴った。
工「もしもし。ああ、あんたか。今のところ予定通りだ。大丈夫、きっと上手くいくさ」
どうやら彼らは電話の向こうにいる人間に頼まれて俺を誘拐したようだ。
しかし一体誰だ?
電話を切った工藤は腕時計で時間を確認した。
工「あと46時間か」
動画が配信されてから約2時間。
残り46時間後に俺は死ぬかもしれない。
俺は不安に駆られながらも、思考を止めることはなかった。
<智哉 side end>
一方、一之瀬は1度警察署に戻っていた。
誘拐された木崎智哉の言葉が気になったからだ。
_目の前の出来事ばかりに気を取られると、大事なことを見逃す。
彼は誘拐されたのには何か別の理由があると思っているのか。
金以外の別の目的が。
昭蔵に「犯人に心当たりはないか」と尋ねたが、「そんなものはない」の一点張りだった。
恐らく少しも思い出そうともしていなかっただろう。
よほど自分は恨まれるような人間ではないと思っているんだろう。
一「…そっちがその気なら、こっちは勝手に調べさせてもらう」
彼は昭蔵について徹底的に調べることを決めた。
まずは彼を恨んでいる人物から当たることにしよう。
かなりの人数になりそうだ。
身代金の引き渡しまであと3時間。
それまでに、出来ることをやっておこう。
一之瀬はそう決意して、廊下を歩いていた。
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