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<智哉 side>
身代金の受け渡し時間まで残り3時間。
俺は相変わらず拘束されたままの状態だった。
1つ変わったことがあるとすれば、後ろ手の拘束が前になっただけだ。
今はパンを食べている。
「後ろ手じゃ食えないから何とかして欲しい」
そう言ったら案外すんなり了承してくれた。
どうやら本当に望みを聞いてくれるようだ。
これで「逃がしてくれ」と言って本当に逃がしてくれればいいのだが、それはいくらなんでも無理だろう。
それに、望みを聞いてくれると言っても、命を取らないわけではない。
いつ犯人の怒りを買うか分からないのだ。
迂闊に頼みごとはできない。
にしても妙だ。
見張り1ついていない。
部屋には俺1人。
これでもし俺が拘束を解いたら、逃げられる可能性だってある。
4人で犯行に及んだのなら、1人くらい見張りをつけてもいいものだ。
よほど逃げられない自信があるのか。
もしくは逃げられても問題がないと思っているのか。
不可解なことが多い。
そんなことを考えているうちにパンをを食べ終えた俺は、ふと眠気に襲われた。
どうやら精神的に疲れてしまったようだ。
どんな状況でも眠気っていうのはくるものだ。
時計がないので分からないが、身代金受け渡しまでまだ時間があるはすだ。
考えるのはあとにしよう。
俺はそう思い、少しの間眠ることにした。
<智哉 side end>
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