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-ライブ会場
俺は携帯を工藤に返した。
工「言いたいことは終わったか」
智「はい」
工「けどまさか養子だったとはね。驚いたよ」
鈴木は言った。
智「…養子と言っていいのかどうかは微妙ですけどね。それよりもすいません。せっかくの計画を台無しにしてしまって」
工「…どういう意味だ」
智「あんな中継を見て、今まで会社に投資していた人たちや解雇された人たちが黙っているわけないですよね。下手したら訴える人だって出てきます。そうなったら警察の介入だって十分にあり得る。そうなれば今まであの人がやって来た悪事が白日のもとに晒され逮捕されます。つまり、あなたたちは手を出すことはできない」
工「!…。お前、最初からそれが目的であんな暴露を」
鷹岡は智哉の胸ぐらをつかんだ。
鷹「貴様、ふざけたマネしやがって!」
智「…すいません。父を殺させるわけにはいかなかったんですよ。捨てられたとは言っても母が愛した人ですから。母を捨てたことを死ぬまで後悔してほしかった。それが僕なりの復讐です」
工「止めろ鷹岡」
工藤は鷹岡を制した。
鷹「工藤…」
工「鈴木、彼の携帯の電源を入れてくれ」
鈴「!…。で、でもそんなことしたら警察が来るんじゃ」
工「元々計画が成功したら自首する手はずだったんだ。計画が実行できないなら続ける意味はない。彼には怪我をさせないように言われてるしな。「計画を実行するのは私がやる。君たちは一切手を汚してはいけない。」それが先生が一番願っていることだ」
智「(…先生?誰のことだ。そいつが今回の黒幕なのか)」
相「でも本当に良いの?」
相田は工藤に尋ねた。
工「ああ、これ以上長引かせても意味ないからな」
工藤は智哉を見た。
工「正直驚いたよ。お前は誘拐したときからずっと冷静だった。普通は怯えたりするもんだ。けどお前は終始強気だった。いや違うな。自分は死んでも構わないと思っていたと言った方が正しいか。それがあんな暴挙に出るとはな」
工藤は微笑んだ。
智哉は気まずそうに目をそらした。
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