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翌日、川沿いにある人物が立っていた。
智「巽さん」
そんな人物の前に木崎智哉がやって来た。
川沿いに立っていたのは、木崎家の近所に住んでおり、智哉の良き理解者の1人である巽敬助だった。
智「やっぱりここだったんですね。家に居なかったんで他に思い当たるところはここしかありませんでした」
巽「智哉くん、体はもう大丈夫なのかい?」
智「はい、もう平気です」
智哉はそう言って敬助の隣に移動した。
智「…犯人は素直に自供してるらしいです。全部自分達がやったことだって」
巽「…そうかい」
智「けど、おかしいんですよね。彼らは明らかに誰かの指示を仰いでいる節がありました。それに彼らに殺人は無理です」
巽「どうしてだい?」
智「僕が50億円が燃える場面を携帯のライブ中継で見せられているとき、誘拐犯は4人全員いました。園山さんが殺されたのはライブ中継の最中です。殺人が出来るわけがない」
敬助は静かに話を聞いていた。
少しの沈黙のあと、敬助が口を開いた。
巽「…もう全て分かっているんだね」
智「…犯人の目的は身代金じゃない。園山さんと父を殺すこと。僕を誘拐したのは、目的が身代金じゃないことを印象づけるため。もし兄さんを誘拐していれば父はすんなりと身代金を払っていたでしょう。しかし、僕を誘拐しその存在を明らかにすれば社会的にも父を抹殺することができる」
智哉が誘拐されたのは木崎昭蔵を陥れるため、そして殺害するためだったのだ。
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