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巽「いつから僕が犯人だと分かったんだい?」
智「…否定しないんですね」
巽「確証があるから会いに来たんだろう?」
敬助は否定しなかった。
自分が犯人だと認めたのだ。
智「誘拐犯の人が黒幕の人のことを『先生』と呼んでいました。僕の周りで先生と呼ばれる人は1人しか思い浮かびませんでした。それに僕の家族のことを詳しく知っている人は限られてますから」
智哉はさらに言葉を続けた。
智「48時間という時間設定をしながら序盤で身代金受け渡しをしたのは、時間内に園山さんと父を殺すための時間稼ぎと身代金を出し渋った場合の保険といったところでしょうか」
巽「それもある。後はマスコミや報道各社の人間が誘拐事件を拡散し報道するための時間を作るためさ。」
智「報道する人間、拡散する人間が増えれば増えるだけ父は追い詰められますからね」
智哉は納得した。
巽「そこまで分かっているなら動機も検討ついてるんだろう?」
智「…警察の人に巽さんの娘の咲ちゃんが亡くなった経緯を調べていただきました。死因は心臓発作による心停止。問題はその心臓発作が起こった場所でした。車の通りの少ない山道。そしてその道路線上には父の別荘がありました。5年前には建設途中でしたが。咲ちゃんが亡くなったのも5年前。関連があると思いました」
巽「…娘は普段から入退院を繰り返していたんだ。その日は久しぶりに外出の許可が出てね。妻は残念ながら予定があって、私は娘と二人でドライブをすることになったんだ。しかし、ドライブの最終にエンストを起こしてしまってね。しかも娘に発作が起こってしまったんだ 」
智「薬は持って無かったんですか?」
巽「その日は薬を持たすのを忘れてしまっていたんだ。娘と一緒にいれることに浮かれてしまっていたんだ。私は焦った。歩いて山を降りようと思っていたときだ。そこに車がやって来たんだ」
智「…まさかその車」
巽「ああ、木崎昭蔵の乗った車だ」
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