出来損ないの変化

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数日後、警察の捜査により木崎昭蔵の悪行が次々と明らかになり、木崎昭蔵の逮捕が決まった。 現在、たくさんのマスコミに囲まれ、昭蔵が警察の車に乗せられようとしている。 一之瀬の姿もそこにもあった。 木崎家の面々はその姿を静かに見つめている。 昭蔵は智哉を見つけると立ち止まった。 昭「まさかお前に裏切られるとはな。飼い犬に手を噛まれるとはこの事か」 智「…手を噛まれたくないならしっかり調教しとくべきでしたね。貴方は自分のことしか考えてなかった。そんな人に手懐けられるつもりはありません」 智哉は静かにそう言った。 昭「…」 その後昭蔵は車に乗せられた。 一之瀬は智哉に礼をして車に乗った。 そして車は走り去った。 智哉は昭蔵が乗せられた車を静かに見つめていた。 智哉はその後、ある人物のもとを訪れていた。 そのある人物とは、今回の事件の黒幕であり、智哉の良き理解者の1人でもあった巽敬助である。 智「体調はどうですか?」 巽「ああ、特に変わりはないよ」 智「今日父が逮捕されました」 巽「…そうかい」 智「きっと娘さんのことについても明らかになっていくと思います」 巽「……」 智「出所したら…」 巽「えっ?」 智「出所したら、一緒にまたお茶でも飲みませんか?」 智哉の言葉に敬助は驚いた。 智「娘さんの話をまた聞かせてください」 智哉はそう言って笑った。 敬助は涙ぐみながら頷いた。 智哉と敬助は面会室のガラス越しに固い約束を交わした。
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