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学校へ着くと、入口の前にいつもは無い掲示板が設置されていた。そこにクラスの発表がされており、その前には多くの生徒達が自分のクラスを確認していた。
「じゃあ俺は先に行ってるよ」
そう言って、亜輝は綾の横を通り過ぎて校舎へ入ろうとしたが、足を止めた。
「あ、綾」
名前を呼ばれ、綾が視線を上げたのと同時に亜輝の手が綾へと伸び、綾の髪へ触れた。その行動に、綾はドキリと心臓が跳ねるのを感じた。
「ほら、桜がついてた」
そう言った亜輝の手には桜の花びらがあった。
「じゃあ、またね」
ヒラヒラと亜輝は手を振ると、校舎の中へと入っていった。
その姿を綾はボーッと見つめていると、急に頭をワシャワシャと撫で回された。
「いいねぇ~!青春だねぇ!若人よ!」
「ちょっ!?何すんのよ、怜美!!」
綾は笑顔で頭を撫で回す親友、怜美に文句の言葉を投げた。
「新学期早々見せつけてくれるねぇ~!綾も綾でうっとり見つめちゃってさ~」
「だ、だってしょうがないでしょ!…かっこいいんだから…」
「おーおー、惚気ですか?」
「の、惚気じゃなくて…」
「良いじゃん、惚気たって。あんた達付き合ってんだから」
その怜美の言葉に、綾は顔を赤くし、俯いた。
綾は彼―杉本亜輝と付き合い始めたばかりだった。
「良かったね!念願の亜輝先輩と付き合えて」
「…うん」
そう喜んでくれる怜美の言葉に、綾も恥ずかしがりつつも頷き返した。
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