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第六章 世間と言うもの
<蓮46>
主任は俺の荷物を見るなり吹き出してしまった。
「蓮、ここに引っ越す気か?それに一体何日分入ってるんだ?」
ああ、スーツが皺にならないようにと入れたスーツケースが大きかった。恥ずかしくなり下を向いて返事もできなかった。
「なあ、それって今日も明日もここに居たいってことか?嬉しいよ」
主任が力強く抱きしめてくれた、それだけでもう体の力が抜ける。
「蓮、そんな顔するなよ。押し倒したくなる」
ええっ、主任今なんと仰いました?もう体がもちませんけれど。どれだけ体力あるんでしょう。と言うよりどんな顔をしていたと言うのでしょう。
「腹減っただろ?パスタならすぐできるから座ってろ」
そう言われても何かお手伝いできないのかなと気になる。台所を覗くと主任が潰したニンニクと唐辛子をフライパンに放り込んでいた。
「何かお手伝いできることありますか?」
「ん?料理できるのお前?」
「えっと、できません」
困ってしまって、どう言葉を継ごうかとまごついていたら、主任がいつものように少し意地悪くにやりと笑う。
「裸にエプロンでサービスしてくれても良いけど?」
ええええっ?!
「そ、それはちょっと……また、こんど…って事でお願いします」
身体中が熱い。恥ずかしさで背中まで真っ赤になってるんじゃないかと思う。主任が楽しそうに笑った、こっちは笑うどころか穴があったら入りたいくらい恥ずかしかった。
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