第一章 仔犬との出会い

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〈蓮2〉   「あのぉ、主任。つかぬ事をお伺いしますが、私の鞄はどちらにありますでしょうか」  申し訳ないやら、恥ずかしいやらで声が小さくなる。  主任は「ああ」と声を上げた。  「お前に、聞こうと思っていたんだ。昨日拾ったのは上原、お前だけだったからな」  冷静に主任に返されてしまった。という事は、鞄は行方不明という事になる。財布やアパートの鍵、それより運転免許証やクレジットカード、社員証まで全てあの中に入っていると言うのに。  「まずい、どうしよう。し、主任どうしたらいいんでしょう?」  「とりあえず落ち着け、昨日最後の記憶はどこだ。誰と一緒だった?」  「総務の木下がもう飲むなって言っていて、それから記憶が。そもそも私は、なぜ何で主任のマンションにいるのでしょう?」  主任は俺の携帯電話をポンと投げてよこした、総務の木下に電話して確認しろという。  「もしもし、俺、そう上原。昨日の事なんだけど、……うん、そう。それで?……え?ご、ごめん、悪かった。そうか」     
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