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「スペインは?
今日は遠征に向けての調整具合を突撃取材しに来たんですよね。
まさか秘密裏に転向企てているとは思わなかったけど」
ろー記者の目がキラッと光った。
「いーえ、スペイン!スペイン行きますよ、来週、謝肉祭記念。
今ちょっと軽くウォーミングアップしてただけです!ねえ、ミズキンダ♪」
ぎりっと睨むけど、あー。
ダメだこりゃ。
パンダ目がハート型。
「どっちがいいと思います?競馬と女子プロレス」
「そりゃ勿論」
ぶち抜きスクープだよね。
あかん、写真!
私の前足がカメラに届く寸前。
「楽しみにしてますね~!」
手を振り方向転換した。
「あ、ちょっとお」
逃げた。
逃げやがった!
慌てて追いかけたけど、追いつけなかった。
写真。
消したかったのに。
………行っちゃった。
カイザーに叱られる予感しかしない。
その日の夕方には、ネットにでかでかと私たちの取っ組み合い写真が流れ。
『競馬界から転向!世界最強女子プロレスラーとなるか?
チームパンクサラサー、スペインで華々しくデビューの噂』
と見出しがついた夕刊が発売された。
その後がまた大変で。
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