完璧主義の私

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隣の奥さんがダイエットに成功しただとか、向かいの家の家族が犬を飼っただとか。私は普通に酒を飲む程度だが、その日はやけに楽しく酒がいつもより進んだ。妻も多く飲んでいた。私より飲んでいたのではないだろうか。そのあとは....思い出せない。記憶が薄っすらとしていて、まるで思い出すのを拒んでるように感じる。記憶が取り戻せないまままた居間へと戻ってきた。ここで酒を飲んでいたのだが、瓶などは捨てたのだろうか。なんだか、本当に飲んだのか不安になり台所にあるごみ箱を見に行った。ふたを開けるとしっかりとごみがあった。一つ疑問なのが一つだけ一升瓶がバラバラになっていた。それを見たとき、その疑問はすぐに消し飛び私の中にあった不安の霧が晴れていったのを感じた。しかしそれが本当に事実なのか確認するために私は縁側から庭に出た。庭に置いてあるものを見てすぐに確信した。事実だったのだと。昨日妻と酒を飲みをし、話をしている中で子供の話が出てきた。我が家ではあまりその話をしないというのが暗黙のルールだったのだが妻は酒を飲んでいて判断能力が鈍っていたのだろう。最初はやんわりだったが、酒が増えるごとに言葉遣いが荒くなり、ついには結婚したのが間違えだったとまで言い出した。その言葉に私は我を忘れて近くのあった一升瓶で妻の頭を殴ってしまった。響き渡る鈍い音。横たわる妻の頭から流れる血。私が確認したときには、もう死んでいた。その後私は庭に出て、穴を掘り、妻を埋めた。居間に戻り、ビンなどの後始末をした。そのあとは一人でたらふく飲み、何事もなかったの様に寝た。なんということだろう。思い出したときは驚いたが後悔はしていない。元々上司の娘との政略結婚みたいなものだったのだから。どうやら、完璧主義な私は記憶まで消していたらしい。
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