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「真衣、お前は最期……俺に殺されることを受け入れた。俺を信じると言って、声も出さず抵抗もせずに静かに死を受け入れた。まさか俺のプロデュースがこんなことだとはお前も想像しなかったはずなのに、お前はそれでも受け入れた」
真衣は、俺に首を絞められている時声も出さず抵抗もせず、ただ黙って俺に身を委ねた。
あの時、真衣はただ静かに目を閉じて俺のプロデュースを受け入れた。
例えそれが「死」という形でも、真衣は俺のプロデュースを信頼し受け入れた。
「本当に……馬鹿だな。10年間俺のプロデュースを受けて、結果が出なかったことはお前が1番よく知っていたはずだろう。それでも、それでもお前は俺を信じていた……けれど、お前に結果など必要なかったのかもしれないな」
真衣は結果が出ないことを俺のせいにしたことなど無かった。
きっと真衣には結果など必要なかった。ただ10年間をアイドルとして全力で駆け抜けられた事だけが、彼女にとって全てだった。
結果などでなくても、彼女にとっての10年間は成功だった。だからこそ、真衣にとって俺のプロデュースは間違いなどでは無かった。
「心配するな、お前はこれからもステージに立ち続ける。誰もお前の事を忘れたりしない。もう……お前は」
俺はただ温度の感じられない真衣を最後に抱きしめ、会場を後にする。
「もう、立派なみんなのアイドルだ」
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