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「ねえ。超能力って、信じる?」
SF作家の千坂亮治のベッドの中で、吾妻朱音がささやいた。
朱音は病に倒れた千坂の入院の手配をしたことを契機に、強引に千坂に内縁の夫婦関係を認めさせて同居を始めていた。6年前、朱音が18歳の時である。
千坂は、朱音が自分のアパートに住むことや朱音が身の回りのことをすること、家計を千坂の収入で賄うことも認めたが、2人が男女の関係になることには応じなかった。
朱音にとっては千坂の遺伝子異常を治療して結婚するのが望みだったが、千坂は遺伝子治療を受け入れようとせず、籍を入れることも拒み続けた。
ただ、3年前に状況が変わった。
セックスで体力をつけて免疫力を高めようという朱音の奇想天外な説得が実を結び、時折身体を重ねる程度には関係が前進したのだ。朱音が21歳になったことでそれ相応の色気がにじみだし、大人と認められたとも言える。
朱音は、セックスによって子供が出来てもいい、……いやむしろ積極的に千坂の子供が欲しいと思うのだが、遺伝子の欠陥を恐れる千坂は、未だに子供を作ることを拒絶していた。
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