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自分の気持ちを当ててみろと言われ、千坂は朱音の瞳を覗き込んだ。潤んだ瞳は小刻みに揺れている。 「朱音はセックスがしたい。そして、子供が欲しい」 「すごい。当たってるー」 朱音は千坂の痩せた体に抱き着き、耳元に顔を寄せる。そして囁く。 「超能力が実用化できると、研究所で聞いたのよ」 19歳で遺伝子工学の学位を取得した朱音は医学部に進み、医師の資格を得たのち、国の生命工学研究施設で人工臓器の研究をしていた。 研究所内には精神医学に携わる研究者も多くいて、防衛相が機械的に人間の感覚を増幅し武器を遠隔操作する理論を確立したと、まことしやかに噂されていたのだ。噂では、既に装置の開発に着手しているという。 千坂は、三半規管を通過する振動が信じられず、視線を天井に向けた。 超能力を実用化する?……何のために? 疑問を解くために顔を横に向けた。5センチと離れていない場所に朱音のキラキラ輝く瞳があった。 「今さら、そんな荒唐無稽なことを考えているのはどこの国だい?」 「日本よ。ナイトメア計画というらしいけど、防衛相で基礎理論を完成させたというのよ。なんでも魚雷を人間の思念でコントロールできるらしいわ。妨害電波の影響を受けないんだって」 「ジャミングの影響を受けない……」 説明を聞くと千坂も納得がいく。
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