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「節操の無い科学者が、防衛予算に飛びついたのか。……まさに悪夢だ」 朱音の唇にチュッと軽いキスをして再び天井を向いた。人類はどこに向かっているのだろうと考えると頭が痛くなった。 「でも、考えても見てよ。そんな遠隔操作ができるなら、廃炉作業だって簡単にできるんじゃない?」 原発事故で遺伝子異常の病に侵された千坂が、常に核と人間の未来を考えていることを朱音は良く理解している。 「そうだね。しかし、ナイトメア計画を防衛省が主導していて実際に軍事利用可能な技術だとしたら、廃炉作業には転用されないだろう」 「そうなの?」 「それが軍事技術というものさ。技術を公開したら武器の価値が一気に下がってしまう。一般にオープンになるのは、対抗技術が生まれて技術そのものが陳腐化する頃だね」
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