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精霊は「今の君なら少しは理解できるかもしれないですね」と言った。
鎖がこすれ合う音がする。
精霊の周りが淡く光ると魔法陣が現れる。
それは見たことの無いものの筈なのにスペルなのだと分かる。
けれど、恐らくこれを発動させても何も起きないどころか、そもそも発動すらしないものだと分かる。
今の自分だから理解できる。
だから、精霊は見せたのだろう。
何らかの変換が起きて自分の作った魔法陣は精霊の世界ではこう見えているのだろう。
彼が美しいと言ったのが分かった。
確かにこの魔法陣は美しい。
僕が見たどの魔法陣より美しかった。
それでも、それはこの世界の魔術も魔法も似たようなものだ。
圧倒的に強固な壁が作れたという以外スペルと魔術の違い等無いのだと思っていた。
けれど、精霊が発現させた魔法陣を消そうとした瞬間、少しばかりの揺らぎを見つけて思わず叫んだ。
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