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再び転移魔法で三人訪れたのは、城へ向かう途中に寄ったことのある街道沿いの宿場町だった。
冒険者たちも多く利用するらしく、収集したドラゴンだったものも売れた。 店の主人はすぐにアルクが勇者だという事に気が付いて、もてなしをするからと有難迷惑な申し出をしていたがアルクは先を急ぐからと丁重に断っていた。宴会なんていう人が多い集まりに参加したくはない。
「勇者様はこれからどちらへ?」
店の主人に聞かれ勇者はこちらを見る。
「ディヤ山脈に伝説の剣があるというのでそれを探しに」
アルク自身に了承を得て無い自分の予定を伝える。
「ああ、おれも聞いたことがある。死霊でさえも切るって話だ」
俺が聞いている話を同じことを店の主人も言った。
「それなら、北の方から行くといい。
この街を出て一山超えたところに温泉がある」
温泉!と弾んだ声でユナが言うのでとりあえずの行先は決まった。
「それでいいか?」
とアルクに聞くと、ああという抑揚のない返事が返ってくる。
そもそも、目的の無い旅だ。適当にのらりくらりとすごす事が最善なのだから温泉なんて丁度いいじゃないか。
できれば一人で過ごさせてくれればもうなんでもいい。それだけ考えて3人で出発した。
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