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けれど、建設的な話合いなんぞ出来ない俺はユナの案に乗るしかない。
まず女性皆でと話したが金髪ちゃんが難色を示し、金髪ちゃんと、魔術師がまず入ってそれから残りの女性、最後に俺とアルクが風呂につかることになった。
二人が温泉に近づくと魔力の流れを感じる。数秒後温泉に結界を張られたのが分かった。
奇襲防止なのだろうか、中の様子は分からない。横で山岳民族の子が息を飲む音が聞こえた。
女の子が温泉に入ってるなら覗きだろうと思わないでもないし、本気を出せば多分気が付かれずに中を覗くこともできる。けれどこの他者を拒絶したような結界を見て一気に萎えた。
結界の外で念のため周りを警戒する。横では足手まといと言われた少女が膝を抱えうずくまっている。
「そんなに足手まといなのか?」
ちょっ、馬鹿!と横でユナに言われ、失言だったと気が付く。
少女はいよいよ頭を膝につけて泣き出した。
人に泣かれてもどう慰めていいかなんて分からない。
そっと背中に触れて撫でると、声を立てて泣かれ、もはやどうすればいいのかと頭を抱えたかった。
嗚咽が、ひっくひっくという声に変わる位、時間がたった。
それでも俺は気の利いたこと等何一つ言えないし、金髪ちゃん達は温泉から戻っては来ない。
どうしようも無くなって自分の頭を掻く。
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